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レクィエム(Requiem)

Andrew Lloyd-Webber

アンドリュー・ロイド=ウェッバー

CC33-3281 / 東芝EMI(株)

指揮:ロリン・マゼール/イギリス室内管弦楽団
T:プラシド・ドミンゴ、S:サラ・ブライトマン、
トレブル=ボーイ・ソプラノ:ポール・マイルズ=キングストン
ウィンチェスター大聖堂合唱団

レクィエムは、正式には死者のためのミサ(Missa pro Defunctis)といい、葬儀や死者の祝日(11月2日)のためのミサのことである。良く歌謡曲や映画のタイトルで「鎮魂曲」という日本語が使用され、「レクィエム」とルビが振られることがあるが、厳密には正しい訳ではない。

さて、楽章の構成や演奏の編成を見てもわかるとおり、この曲は伝統的なクラシック系のレクィエムに則った形式の曲となっていて歌詞もラテン語を採用しており、一見珍しいところはない。あえて言えば、作曲者が「キャッツ」や「オペラ座の怪人」などの超有名ミュージカルの作曲者として知られるアンドリュー・ロイド=ウェッバーであるという点こそが特徴である。

全体に特別に奇を衒っているわけではないが、それでも第6楽章 Hosannaなどは、舞台でダンサーが踊っているところを想像してしまうような如何にもミュージカル作曲家らしい楽しい楽章で、不幸な少年の楽天主義への渇望を表現しているという背景を知らずに聴けば、「これのどこがレクィエム???」と思ってしまうだろう。

また癒し系の第7楽章 Pie Jesu(慈悲深きイエスよ)は発売当時シングル・カットされ、英米ビルボード誌のヒット・チャートにもランク・インした美しい曲である。

ソリストは世界3大テノールの1人として著名なプラシド・ドミンゴ、多くのロイド=ウェッバー作品の主役を務め、当時は2番目の夫人でもあったサラ・ブライトマン、またボーイ・ソプラノのポール・マイルズ=キングストンも安定した歌唱で聴かせ、演奏も申し分ない。

人気ミュージカル作曲家の普段と少し異なる一面が楽しめる一枚と言えよう。

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