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2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー(Heterofony of Two Pianos and Orchestra)

Akira Nishimura

西村 朗

30CM-520~1 / カメラータ・トウキョウ

指揮:秋山 和慶/東京交響楽団
pf:神野 明、佐藤 俊

「はじめて聴いたときには正直ぼくはブッ飛んだ」とある評論家が書いていた。しかし、まさしくこれは凄い。

ヘテロフォニーとは、原型となる1つの旋律を少しずつ変容させた複数の旋律が同時に演奏されるもので、日本の雅楽を始めとする民族音楽などに見られる構造である。西村朗はこのヘテロフォニーという素材を自作の中で執拗に繰り返し用いている。この曲はその集大成の1つともいえるだろう。

第1楽章冒頭から、2台のピアノのトレモロで連打され続ける空虚5度のドローンに乗って、持続的に鳴らされる管弦楽の篳篥のような音響。どこか雅な響きのする静かな第2楽章を経て、切れ目なしに第3楽章へ続く。ひたすら連打され続けるピアノの波動に乗ってクライマックスへ向けて高潮していく管弦楽の大伽藍にリスナーは次第にトランス状態へと導かれていく。

この曲は車のプレーヤーなどでながら聴きしてはいけない。静かなところでヘッドフォンを使うなどして隅々までじっくり聴いて初めて真価がわかるだろう。

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