オーケストラものに重点をおいた音楽への非正統派なご案内
Philip Bračanin(Philip Bracanin)フィリップ・ブラカニン |
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(輸)Warner Music 8573849002 指揮:ベンジャミン・ヴァリー/クイーンズランド交響楽団 音楽好きの海外旅行の楽しみの1つは、その国の作曲家による音楽のCDを発見することである(今時は現地より日本の大型店を探した方が早い場合も多いが...)。このCDはオーストラリアのHMVで見つけたものだ。作曲者名の綴りにあるčの文字の読みがわからないので「ブラカニン」としたが、もしかするとチェコ語のřのような独特な読み方があるのかも知れない。曲名も筆者の訳なのでカッコつきで表記した。Gundahとはアボリジニの言葉でアカカンガルー(須坂市動物園のハッチが有名)を指し、作曲者によればタイトルで英語とアボリジニ語を合わせて使っているのは双方の国の文化の融合を表しているとのこと。作曲者は時々このようなタイトルの付け方をしているようだ。 オーストラリアの作曲家は、いわゆる"ゲンダイオンガク"よりも概して通俗的で分かりやすい作風の人が多いように思える。この作品も独奏楽器が特異なことを除いては特別変わったところがあるわけではなく、気楽に聞ける作品と言える。実はタイトルに協奏曲と付いているわけではないので、本当は協奏曲ではないかも知れないが、一応3楽章形式で第2楽章が緩徐楽章という構成になっている。 さて、問題の独奏楽器であるが、今時はクラシックの作曲家が協奏曲の独奏楽器に自国の民族楽器を用いることは珍しくはないけれど、ディジュリドゥー付の管弦楽という意味ではやっぱり珍しいのでつい買ってしまった。ディジュリドゥーとは、シロアリが食べて筒状になったユーカリの木を使った、サイズが1~2mはあろうかというアボリジニの管楽器であり、「ギョー、ギョー、ゲコゲコ」と蛙の鳴き声のような音を出す。TVコマーシャルに登場したり、今では観光旅行のご当地ネタとして一般的な知名度もそれなりに高くなっており、お土産用の小さなサイズのものが普通に売られている。演奏は循環呼吸といって、鼻から息を吸いながら同時に口から息を吐いて楽器を鳴らす奏法で、要は息継ぎのために音を途切らせることがないのである。これも観光用のツアーで船頭さんが披露してくれたりすることがある。教則本も売っているので興味のある方はチャレンジしてみてはいかがだろうか。その鳴き声のような独特な奏法は、実際に様々な鳥や動物、蛙の鳴き声の模倣に基づいているようだ。 海外に行ったら、民族楽器+シンセという観光地に良くあるお土産用CDではなく、こんな曲なんか探して買ってみるのも一興かも。 |
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