オーケストラものに重点をおいた音楽への非正統派なご案内
Ryuichi Sakamoto坂本 龍一 |
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1)市販メディアなし 指揮:坂本龍一 / 新日本フィルハーモニー交響楽団 2)型番記載なし / Gütbounce 演奏者不明 3)「坂本龍一 PLAYING THE ORCHESTRA 1997 "f"」 指揮:佐渡裕 / オーケストラ不明 2023年に坂本龍一が亡くなってこれを書いている時点で2年経つが、同氏を回顧するイベントや番組が絶えない。元YMOのメンバーの中でも、社会に与えた影響度という意味では突出しているのではないだろうか。 坂本龍一の音楽はジャンル的にも多岐に渡るが、本コーナーであえて取り上げてみようと思ったのは、1992年のバルセロナオリンピックのマスゲームのために作曲された音楽である。オリンピックの開会式の音楽は、開催国の作曲家に依頼するのがほぼ当たり前となっているので、これは驚くべき大抜擢と言える。筆者は開会式そのものは見逃してしまったが、音楽だけは翌年の5月28日に渋谷公会堂で「題名のない音楽会」のために収録されたため、(短縮版かも知れないものの)TV放送で視聴することができた(放送時のタイトル:「坂本龍一 その音楽世界」)。 番組の司会者、黛敏郎の解説によると、この曲はギリシャ神話の神ヘラクレスが地中海を創った後、帆船で航海に出てやがてスペインに辿り着き、バルセロナを発見するまでの物語を描いたものだとか。オーケストレーションは、黛にも師事した現代音楽作曲家の鈴木行一であるが、多数の打楽器に合唱まで加えた大規模かつ派手な音楽である。 冒頭、金管による独特のファンファーレ風和音で始まるが、まるでシンセサイザーのような音響で面白い。続いて弦楽器により凪いだ大洋を旅するような4拍子のゆったりとした旋律が奏でられる。中間部で、ボンゴ、コンガ、カスタネット、アンティークシンバル、タムタム(中国起源の銅鑼)といった打楽器によるリズムを基調とした3拍子のパートに突入すると、ちょっと「戦場のメリークリスマス」の「種子と種を蒔く人」を思わせるダイナミックな音楽が続くが、途中で曲調を変えて再び4拍子になりさらに派手さを増す。そして終結部付近になると、今度は「ラストエンペラー」風の旋律が顔を出す。 筆者はこの曲の音盤は市販されていないものとずっと思っていたが、見つからなかったのはCDとして発売された時のタイトルが「El Mar Mediterrani(地中海のテーマ)」に変更されていたためだということが後に判明する(上記の2)のCD)。本盤では、楽曲としては上記のTV放送時のものより長いバージョンになっている。ただ、TV放送版を先に聴いてしまったためか、CD版の方はTV版にない部分(即興風の部分など)がかえって冗長に聴こえてしまう。 さらにこれ以外にも、オーケストラによるライブ演奏を収録したDVDが入手可能なこともわかった(上記の3)のDVD)。これは以前から坂本が続けている「PLAYING THE ORCHESTRA」と銘打ったコンサートのうち、1997年に開催されたものの実況収録である。ここでは映像や照明による演出も加わって、演奏はさらに派手さと即興性を増している。ただこれは、やはり劇場空間でのライブならではのパフォーマンスと言える作りである。1つのオーケストラ作品として、「題名のない音楽会」の時のようなもっと凝縮したバージョンも売り出して欲しいと思うのは筆者だけであろうか?なお、このコンサートの演奏者であるが、指揮者くらいは顔から判別できるもののDVDのパッケージに記載は無く、エンディングのタイトルロールも無いため、詳細はわからない。2)のCDもそうなのだが、この辺りはもう少し制作側の配慮が欲しいところ。 |
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