さよなら銀河鉄道999 - アンドロメダ終着駅-

Osamu Syoji

東海林 修

COCX-31436~7 / コロムビア・ミュージック・エンタテイメント(株)

指揮:熊谷 弘/コロムビア・シンフォニック・オーケストラ

言わずと知れた松本零士原作の劇場用アニメーション第2弾であるが、音楽は現在でも人気を誇っているロングセラーである。TVシリーズも手掛けた前作の青木望から作曲家がバトンタッチし、クラシカルなオーケストラ編成となった。当初、全編シンセサイザーにしたいとの原作者の意向により、大家である東海林修が選ばれたということらしいが、最後までその通りにしていたら長期に渡って今のような人気を保ちえたかどうか。

曲は、所々「スーパーマン」などのジョン・ウィリアムス作品の影響がはっきりと見て取れるが、それは当時の作品としては致し方ないところ(想像するに発注側の意向もあったであろう)。ただ、全体を聴けばそれはあまり問題にならないほどのオリジナリティがあることは明らかである。シンセサイザーの大家でもあるために、本格的な生のオーケストラによる映像作品がこれ以外にほとんどないが、冨田勲と同じくもっと生楽器の作品を書いて欲しい作曲家の1人でもある。

パルチザンという暗いテーマのためか前作とは打って変わって全般に陰鬱で重厚な曲が多いが、その中で随所に印象的なメロディもしっかりちりばめられている。LP時とこの2枚組CDとでは曲名も異なっていたりするが、「再会-LOVE THEME」、「青春の幻影(古城にて)」、「終曲」などが特に人気が高いようである。また、結果的に唯一のシンセサイザー曲となった「大宇宙の涯へ(光と影のオブジェ)」は、5分以上の曲であるが、これが使われているのはセリフの少ない映像と音楽による劇場映画らしい見せ場の1つで、非常に印象に残る。初めて自作曲にローランド機材を全面導入したというこの曲は当時語り草になり、本アルバムはこれ1曲のために日本のポピュラー系電子音楽史上に名盤としてその名を刻まれることになった。この他、弦楽器が細かく刻むリズムに乗った「謎の幽霊列車」も良い。有名な作品であるし、曲目別の詳しい解説もライナーなどにあるのでこれ以上の細かい解説は避けるけれど、サントラ盤そのものについて少し触れることにする。

サントラ盤は当時レコード2枚組という、前年に公開されたスターウォーズ「帝国の逆襲」並みの扱いだった(しかも面白いことにどちらも覆面を被った実の父親と戦う話だ)。しかし、どちらも当時のレコードの構成通りのCD化がなされていない(※ この記事を書いた後、2010年になってからLP通りの構成でHQCDが無事発売された(COCX-36077-8))。CDが登場して比較的早期にどちらもCD化されたのだが、これが仇となった。CD黎明期には2枚組のレコードの場合は数曲削って1枚に収められてしまうことが良くあったためだ。このとき、999のCDでは4曲が割愛された(1曲は映画未使用の挿入歌)。また、当時のサントラ盤は現在ほどには映画に使用されたバージョンを忠実に収めることが重要視されておらず、アルバムとしての構成を重視して編集されていたりすることも少なくなかった。その後どちらも映画になるべく忠実に曲を収録したCDが発売されたが、このためにまたも一部に異なるバージョンが収録され、結局レコード当時の構成で発売される機会が失われてしまっているのだ。本来なら、映画通りの曲がきちんと収められた「完全版」の発売は喜ばしいことであり、喜んだファンも多かったと思うが、結果的に何度も聴いてきたレコードと同じ構成のCDがないというのはやはり残念である。

因みに、オーケストラの演奏家だが、フルートは相馬充とおよそカルマン渦で発音する原理のメジャーな木管楽器(フルート族)なら何でも来いの旭孝、ピアノは駄洒落好きでも知られるハネケンこと羽田健太郎、打楽器は今では世界的なマリンバ奏者として知られる安倍圭子、ヴァイオリンは作曲や胡弓の演奏でも知られる篠崎正嗣(まだ、筆頭になってない)などなど、ソリストとしても活躍している錚々たるメンバーであるが、実は本作品に限らずスタジオ・オーケストラの構成員としては一流アーティストの掛け持ちは珍しいことではない。コロムビアの他、ビクター、キングなどのスタジオ・オーケストラにも掛け持ちで登場する人も多いから確認してみると面白いかも知れない。

なお、録音は楽器の左右の配置がかなりくっきりと分かれるように定位している。

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