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口琴、マンドーラと管弦楽のための協奏曲(Concerto for Jew’s Harp,Mandora and Orchestra)

Johann Georg Albrechtsberger

ヨハン・ゲオルグ・アルブレヒツベルガー

(輸)Orfeo C035821A

指揮:ハンス・シュタドルマイアー/ミュンヘン室内管弦楽団
口琴:フリッツ・マイヤー
マンドーラ:ディーター・キルシュ

今日ではその作品でというよりも、どちらかといえばかのベートーヴェンの師であったということで有名なアルブレヒツベルガー。しかし当時はシュテファン大聖堂の楽長も勤め、対位法の大家としても知られていたという。そんな作曲家の珍しい楽器による二重協奏曲。

マンドーラとは、中世頃に登場した小さなリュートのような楽器である。歴史についてはいろいろな議論があるようなのでここではこれ以上触れないでおく。筆者が興味を持ったのは口琴の方だ。口琴とは、金属などで作られた舌を口元で弾いて口腔内に反響させ、口の形を変えることで音程を変えて演奏する楽器である。ビヨ~ン、ビヨ~ンという「ど根性がえる」の主題歌でもお馴染みの音といえばわかる人も多いだろう。世界各地に類似したものが存在し、比較的有名なアイヌの”ムックリ”は竹製である。ドイツ、オーストリアのものは、湾曲した金属の枠の中央に細長い舌が設けられたもので、音域別にいくつかのサイズがある。ドイツを旅すれば普通に楽器屋さんで売っているが、どちらかというとオモチャとして扱われているようだ。因みに日本語では口琴だが、ドイツ語ではMaultrommel(Maulは口、Trommelは太鼓やパタパタいうものという意味)、英語では jaw's harp(顎琴) である。 jew’s harp すなわちユダヤの竪琴と表記されることもあるが、誤って広まった俗名とのことである。

筆者がローテンブルクのお店で初めて買って帰ったときは、ポケットから落として車に轢かれてしまい、それこそ「平面ガエル」に...。10年くらい後になって再びローテンブルクを訪れたときに、同じお店で買い直した因縁深い楽器なのだ。

ここで紹介したCDには、ホ長調とヘ長調の2曲が収録されているが、いずれも弦楽器を主体としたいかにもバロックから前古典派あたりの典雅な作品となっている。それだけに、短いゲネラルパウゼ(総休止)をはさんでいきなりビヨ~ン、ビヨ~ンと始まると知らずに聴いたらちょっと驚くが、お子様連れのコンサートだったら喜んでもらえるかも。

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