行列-ブルレスケ風交響曲(イゾラナ交響曲) より

Ikuma Dan

團 伊玖磨

1)市販メディアなし(抜粋版)

指揮:團伊玖磨 / 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2)3SCD-0006 / スリーシェルズ(吹奏楽版)

指揮:福田滋 / リベラ・ウィンド・シンフォニー

團伊玖磨の作品において、歌劇と交響曲は重要な位置を占めている。6番まである番号付き交響曲は、山田一雄指揮のウィーン交響楽団の演奏によって全集がCD化されたし、本人指揮の読売日本交響楽団によって連続演奏会も行われた。ところが、ここに挙げたブルレスケ風交響曲(後にイゾラナ交響曲と改題)は、他の交響曲ほどに評価されていないのか、光が当てられることはほとんど無いと言って良い。

筆者が初めてこの曲を耳にしたのは、黒柳徹子と芥川也寸志が司会を務めるNHK番組「音楽の広場」で'84年に放送された「3人の会」の特集だった。「3人の会」とは、芥川也寸志、團伊玖磨、黛敏郎が1953年に結成した、自費の演奏会で自作を発表するためグループである。特集は2週に渡り、1週目には「3人の会」の第1回で演奏された純音楽作品、すなわち、ここに挙げた團の「行列」と芥川の「交響曲第1番」第4楽章、そして黛の「饗宴」のそれぞれの抜粋版が、2週目には映画音楽が紹介された。当時は、いずれもレコードもCDも現役盤は存在していなかったが、その後のCDの普及に伴い、いずれも作曲者の代表作と知られる芥川と黛の作品はCD化され、演奏もいくつか入手できるようになった。しかし、團のこの作品はCD化される機会に恵まれていない。

そういう状況の中で、唯一の救いとしてはこの楽章の吹奏楽版がスリーシェルズからCD化されたことだ。このCDの解説には、全3楽章(「モザイク」、「子守唄」、「行列」)が演奏されたのは初演時のみであり、終楽章のみ「音楽の広場」で再演されたとある。筆者が知る限りでもこの番組以降の演奏記録は無い。それにも係わらずこの楽章がCD化の機会に恵まれたのは、おそらく筆者と同じようにこの番組でこの曲の魅力に触れて以来、この曲が再び日の目を見ることを待ち望んでいた人が結構いたからに違いない。

團伊玖磨の作品と言えば、大陸的な大らかさとアジア風の抒情性が特徴の1つだが、中でもこの「行列」は、日本的な情感をともすれば安直とも受け取られかねないストレートさで表現した親しみやすい作品だ。トンテケテットッ、テケテットッテッ、と軽やかなボンゴのリズムに導かれ、陽気な笛の音を思わせるフルートのソロが登場する冒頭からして、祭囃子がやってくるような浮き浮きした高揚感が楽しい。同じ交響曲でもモノクロームな色彩感と硬質なリズムを持つシリアスな第3番とは対極をなす作品といえる。

ここに挙げた吹奏楽版も演奏としては申し分なく、またTV放送の抜粋版ではカットされた部分が聴けるのも有難いことである。しかしながら、やはりオリジナルの管弦楽版で聴いてみたいことには変わりなく、さらに望みうるならば、全曲盤で聴ける日が来ることを切に願わずにはおれない。

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