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ラジエーション・ミサ(Radiation Missa)

Shigeaki Saegusa

三枝 成章(成彰)

1)32XL206 / ワーナー・パイオニア(株)

指揮:森正 / 東京フィルハーモニー交響楽団
演奏:DKW-57349
(キーボード:向谷実、難波弘之、中村さとし、倉田信雄、ボコーダー:森本恭正(ゆきまさ)、ドラムス:岡井大二)

2)BRIDGE219(WQCQ1366) /(株)ブリッジ

演奏:同上( 1)と同音源のリマスタリング)

3)KDC-5038~5039 / (株)キングインターナショナル

キーボード:向谷実、難波弘之、宮城純子、ボコーダー:YUKI MORIMOTO

やはりこの曲は挙げておかねばなるまい。クラシック作品として1981年のレコードアカデミー賞を受賞しているが、聞いた感じはプログレ(プログレッシブ・ロック)みたいで、生楽器など使用されておらず、ビートに乗ってアナログシンセサイザーやボコーダー、ドラムスで演奏されている本作品を初めて聴いてクラシック系の曲だと思う人はまずおるまい。

構成は通常のミサ曲らしく、キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイの6楽章からなり、ミサの歌詞(ボコーダーで変質された声で詠唱される)も伝統的なラテン語の典礼文が用いられているものの、さて曲そのものはというと、調性が無かったり変拍子が頻出したりで正に現代音楽(でもカッコイイ)。見ての通り、演奏者は一流ミュージシャン揃いであるが、ワーナー・パイオニア版が録音された当時は高性能なシーケンサーなどもなく、現代音楽の演奏に慣れていないロック・ミュージシャン達がすべて人手で演奏するのは困難を極めたということで、現場は喧嘩寸前だった、と難波弘之がライナーで述べている。

筆者が気に入っているスタジオ録音によるワーナー版の方は、CDもすでに廃盤で一般に購入はできない(※)が、ワーナー版のレコードから20年以上の時を経てライブ録音で登場したのがキング版(三枝成彰セレクション Vol.1に収録)である。まさかこの曲が今どき生で再演されるなど思ってもいなかった筆者は演奏会当日はのんびり海外旅行中で、後でそのことを知ったのだった...。ただおそらくオーケストレーションがリニューアルされているのであろう、かなりワーナー版とは異なって聞こえる。可能であれば両方聞かれてみることをお薦めしたい。

※)この記事を最初に書いてから5年後の2013年になって、リマスタリングで再発された(上記の2))。レコード発売当時のデザインを復刻した紙ジャケットで、ワーナー版CDのジャケットデザインはライナーの表紙に採用されている。なお、三枝成彰と難波弘之による最新の対談が収録されており、作品の背景などに興味がある方には、すでにワーナー版を所有していても一読の価値あり。

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