ピアノ協奏曲「黄河」(Piano Concerto "The Yellow River")

Central Philharmonic Society

中央楽団(殷承宗、劉庄、儲望華、盛禮洪、石叔誠、許斐星)

RA-931001C / 龍音製作有限公司(1990年 石叔誠 改訂版)

指揮:袁方(YUAN Fang)/中国廣播交響楽団(The Chinese Broad Casting Symphony Orchestra)
pf:石叔誠(SHI-Shu Cheng)

中国を旅すると、CD屋のクラシックコーナーで必ずと言って良いほど目にするのが、ヴァイオリン協奏曲「梁山泊と祝英台」(梁祝小提琴協奏曲)とこのピアノ協奏曲「黄河」(鋼琴協奏曲<黄河>)である。...と、言いたい所だが、実を言うと筆者は2000年前後に台湾と香港に行ったことがあるだけで大陸そのものには行ったことが無い。しかし、状況は大陸でも同様だったろうと勝手に想像している(もっとも、近年は各国でCDショップ自体が消滅しつつあるのでどうかわからないが)。いわばこの2曲は中国製2大クラシックと言えるほどポピュラーであり、録音も数多い。

ピアノ協奏曲「黄河」は、中国の有名なカンタータ「黄河大合唱」(全7楽章)から4楽章を抜粋し、集団創作で再構成したものであり、ここで挙げたCD(アルバムタイトル:「黄河」)にはこの原曲も共に収録されている。「黄河大合唱」は、抗日戦争(日中戦争のこと)中に冼星海が作曲したもので、ショスタコ-ヴィチのカンタータ「森の歌」と同じく社会主義リアリズムの作品である。よって、このピアノ協奏曲も愛国主義的・民族主義的な香りを濃厚に放っており、民謡的な要素も取り込んだシンプルでわかり易いメロディラインと明るく健全な作風が特徴である。複数の版が存在するようであるが、本CDには、1990年に石叔誠によって改訂された版が収録されている。

第1楽章 前奏曲「黄河船夫曲」(黄河の船頭の歌)は、はっしとした躍動的な音楽。琵琶のトレモロが加えられ中国らしさを感じさせるが、これは必ずしも楽譜で指定されていないようである。

第2楽章「黄河頌」(黄河を讃える)は、日本の歌謡曲のようなメロディラインを持つムード音楽的な内容で、郷愁すら感じる。カーメン・キャバレロあたりの「日本の旅情」というアルバムの曲だ、と言われれば思わず納得してしまいそうである。後半で、感情が高ぶるかのように盛り上がり、涙腺を刺激してお約束を裏切らない。

第3楽章「黄河憤」(怒れる黄河)は、冒頭、中国の民族楽器である竹笛の音に始まり、主題はより中国音階的なメロディラインとなるが、前半の印象は第2楽章と似ている。後半、怒れる感情を表すかのように強奏するピアノが主導権を握る。

第4楽章「保衛黄河」(黄河を護れ)の冒頭は、壮大なファンファーレに始まり、快活な行進曲調のAllegroで、意気揚々とフィナーレに突き進む。

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