ピアノ協奏曲への異常な愛情

「ピアノ協奏曲の名曲を選ぶなら、やっぱりショパンだよね。」
「ダメ、ダメ、あれは協奏曲っていうより管弦楽伴奏付のピアノソナタだからね。」
「じゃあ、渋めにブラームスなんてどお?」
「イヤ、イヤ、あれはピアノ付の交響曲って感じだな。」
「じゃあ、リストは?」
「あれって『トライアングル協奏曲』じゃなかったっけ?第一、オーケストレーション弟子がやってるし。」
「じゃあ、何だったらいいのさ?」

...というわけで、独断と偏見に満ち満ちた王道からちょっとずれた選曲によるピアノ協奏曲のご紹介。
(なお、上記のいずれの協奏曲もホントは好きです。)

A

Kurt Atterberg

クルト・アッテルベリ

(クルト・アッテルベリ)

Piano Concerto Op.37 in B flat minor
ピアノ協奏曲 作品37 変ロ短調

(輸)CPO 999 732-2

指揮:アリ・ラシライネン/NDRハノーヴァー放送管弦楽団
ピアノ:ローヴェ・デルヴィンガー

第1楽章冒頭からいきなり「グリーグか?」と思わせる、独奏ピアノの両手による和音の強奏とアルペジオに続いて、弦楽器によるちょっと悲しみを帯びた主題が現れる。アッテルベリの作品は劇的な旋律美に溢れた魅力的なものが多いが、このピアノ協奏曲に関しては、日本人が聴くとメロドラマぎりぎりの大仰さでちょっと気恥ずかしささえ感じるほどだ。

硬派のクラシック・ファンだと引いてしまうかもしれないので、甘口のいかにもなピアノ協奏曲が好きな方にお薦め。TVドラマでピアニスト役の二枚目俳優が演奏すれば、結構問い合わせがあるに違いない。

冒頭の和音は第3楽章でもそのまま登場し、循環主題のようになっている。

C

Central Philharmonic Society

中央楽団(殷承宗、劉庄、儲望華、盛禮洪、石叔誠、許斐星)

Piano Concerto "The Yellow River"
ピアノ協奏曲「黄河」

D

Kohsaku Dan

弾 厚作

(加山 雄三)

Piano Concerto No.1 D Minor K-213
ピアノ協奏曲第1番 二短調 K-213(父に捧げるピアノ・コンチェルト)

FHCF-1118 / (株)ファンハウス

指揮:森岡賢一郎/N響団友オーケストラ
ピアノ:羽田健太郎

弾厚作とは、加山雄三が作曲を行う際に用いるペンネームであり、團伊玖磨と山田耕作の名から採ったことは周知のとおり。K-213はモーツァルトの作品に付けられたケッヘル番号に倣って弾が用いている作品番号であるが、他の番号はもちろんほとんどが歌謡曲だ。

このピアノ協奏曲は、弾が子供のころにクラシック好きだった父親(俳優、上原謙)に作曲を約束したものだということであり、父親が好きだったという6人の作曲家(ハチャトゥリアン、ラフマニノフ、ガーシュイン、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン)のスタイルが模倣されて登場するという仕掛けになっている。このようないわば私的な作品であるため、オリジナリティや新しいスタイルの創造性を期待して聴くと肩透かしを食らってしまうが、その辺を承知の上で割り切って聴くならばそれなりに楽しめる。

オーケストレーションは指揮者も務めた森岡賢一郎の指導を受けながら進めたとのことだが、第1楽章だけが先に完成し、残りの楽章は15年後になって完成した。第1楽章はラフマニノフからの影響が最も大きいが、主題の旋律からはどこか日本人の作る歌謡曲らしさも聴き取れる。第3楽章はベートーヴェンの作風が支配的な古典的な楽章で、「題名のない音楽会」の「加山雄三、わが心の歌」の回では本人の指揮、土屋律子の演奏で放送もされた。しかし個人的には、妻を亡くして孤独にさいなまれている父親の姿に想を得たという美しい第2楽章が最も気に入っている。

E

Keith Emerson

キース・エマーソン

Piano Concerto No1
ピアノ協奏曲 第1番

VICP-60640~41 / ビクター・エンタテインメント(株)

指揮:ジョン・メイヤー/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:キース・エマーソン

キース・エマーソンといえば、あまりに有名なロック・グループELP(ここではエマーソン、レイク&パーマー)のメンバーとして知られるが、この作品はキースのソロ用作品である。指揮を務めたジョン・メイヤーとの共同でオーケストレーションされている。

第1楽章の冒頭は、無調風の音形による20世紀のピアノ協奏曲らしい出だしで「お…」、と思わせるが、次第にロック・アーティストらしいメロディになっていく。田園風の短い第2楽章を経て、爆走する機関車のようなメカニックなピアノのリズムに鞭(ピストル?)なども含む多彩な打楽器を加えたダイナミックな第3楽章へ進む。ここではキース・エマーソンのピアニストとしてのビルトゥオージティが遺憾なく発揮され、最後はどこかハリウッドの映画音楽のような旋律で英雄的な盛り上がりを見せ、華やかに全曲が閉じられる。

それにしてもあえて苦言を呈すれば、ロックのアルバムとはいえ、一応協奏曲であるからには楽章毎にチャプターを分ける配慮は欲しかったな。

G

Alberto Ginastera

アルベルト・ヒナステラ

Piano Concerto No1 Op.28
ピアノ協奏曲 第1番 作品28

ASV CRCB-13 / クラウン・レコード(株)

指揮:エンリケ・バティス/メキシコ・シティ・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:オスカル・タラゴ

ヒナステラというと、初期の民族主義的な作風の頃に作曲されたバレエ音楽「エスタンシア(農場)」Op.8からの組曲が突出して人気だが、このピアノ協奏曲は中期以降、12音技法に関心を示し前衛的な作風に変化していったと言われる時期の作品。

しかし、第1楽章や第4楽章を聴くと、民族主義的な香りは失われていないようだ。特に第4楽章「トッカータ・コンチェルタータ」は打楽器群の土俗的なリズムが炸裂するかっこいい楽章で、ロック・グループELPのカール・パーマーによってロック版にアレンジまでされており(アルバム「恐怖の頭脳改革」に「トッカータ」の名で収録)、ヒナステラ本人もこのアレンジは気に入っていたという。決して「前衛」という言葉から連想されるような曲ではなく、コンサートの終曲で演奏すれば拍手喝采だろう。

Ferde Grofe

ファーディ・グローフェ

Concerto for Piano and Orchestra in D minor
ピアノ協奏曲 ニ短調

J

Andre Jolivet

アンドレ・ジョリヴェ

Concerto pour Piano et Orchestre
ピアノ協奏曲

1)SICC-1522

指揮:アンドレ・ジョリヴェ/パリ音楽院管弦楽団
ピアノ:フィリップ・アントルモン

2)(輸)SOLSTICE SOCD81

指揮:エルネスト・ブール/ストラスブール放送交響楽団
ピアノ:ルセット・デカーヴ

バルトークを思わせる短い管弦楽の序奏に続いて土俗的なピアノが登場する。初演の際は、あのストラヴィンスキーの「春の祭典」以来の大騒ぎになったという。

伝統的なピアノ協奏曲らしからぬ無骨で荒々しい内容にも原因があったろうが、むしろ当時フランスの支配下にあった赤道直下の国々の民族音楽のリズムが取り入れられていたためとも言われている。このため、「赤道コンチェルト」の異名で呼ばれていたこともあるが、今日ではこの名称は使われないのが普通だ。

歴史的な知名度の割に現役のディスクが非常に少ないのが残念。だから、この曲の名盤でありながらLP時代に廃盤になったままだったアントルモンとの共演による自演の演奏が、2011年になって廉価版CDで復活したのは実にありがたい。

因みにジョリヴェは他にもフルート協奏曲やオンド・マルトノ協奏曲など多数の協奏曲を作曲しているが、打楽器協奏曲に関しては、あの「のだめカンタービレ」にピアノ・リダクション版が少しだけ登場したお陰で?かろうじて国内盤ディスクが発売された。

なお、アンドレ・ジョリヴェは来日したこともあり、「パチンコ」なる2台のピアノのための曲も作曲しているとか。

K

Aram Ilych Khachaturian

アラム・ハチャトゥリアン

Piano Concerto in D flat major
ピアノ協奏曲 変ニ長調

LONDON POCL-9729 / ポリドール(株)

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:アリシア・デ・ラローチャ

ハチャトゥリアンのこのピアノ協奏曲の最も特異な点は、なんといっても第2楽章で主旋律をフレクサトーンのソロが奏でることである。フレクサトーンとは、両面にスチール製のワイヤーで支持されたボールが取り付けられた薄い金属板が握り手に結合されており、その握り手を左右に振ることでボールが交互に金属板に当たり、ヒョロロロロ~と独特な音を出す打楽器である。しかし、アクセントやおどけた効果音として2~3発挿入されるのを耳にすることはあるが、トレモロの持続を使ってソロ楽器として旋律の演奏に使用されるのは稀で、他の例として筆者が知っているのはタイムスリップもののSF映画「ファイナル・カウントダウン」(音楽:ジョン・スコット)の「ミスター アンド ミセスタイドマン」くらいである(この曲についてはそのうち別途書きたいが、岩崎宏美の大ヒット曲「聖母たちのララバイ」の原曲である)。

さすがにこんな需要の少ないものにソリストがなかなかいないのであろう、このソロは他の楽器で代替されることも多い。ある時、国内で演奏会があるというので喜んで出かけたら、ソロ楽器がミュージカル・ソー(大きな鋸をヴァイオリンの弓で弾く、落語でもお馴染みのあの楽器である)に置き換えられていてガッカリしたことがある。何せ手首でトレモロを続けながら指で金属板を押す力を調整することで音程を変えるのでやってみると結構難しい(簡単な楽器なぞないけれど)。しかしこのCDでは、実際にフレクサトーンで演奏されている。

輸入版で購入したLPの解説によると、アルメニアの民族楽器を模しているのだとか。第2楽章の冒頭、物語りを語り始めるかのようなバス・クラリネットの短い導入部に続いて、哀愁漂う主旋律をまずピアノが奏でる。強拍部に2度のテンションが付加された独特の響きが印象深いが、再度冒頭の部分が今度はピアノの左手に再現されるのに続いて、主旋律の2度目の繰り返しがフレクサトーンの口笛のような音色で奏される部分は1度聴いたら忘れがたい印象を残す。

Erich Wolfgang Korngold

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト

Piano Concerto for the Left Hand in C sharp, Op. 17
左手のためのピアノ協奏曲 嬰ハ調 作品17

M

Yutaka Makino

牧野 由多可

Piano Concerto No.2
ピアノ協奏曲 第2番

Jakob Ludwig Felix
Mendelssohn Bartholdy

フェリックス・メンデルスゾーン

Piano Concerto No.2 Op.40
ピアノ協奏曲 第2番 作品40

(輸)TESTAMENT SBT 1288

指揮:アルド・チェッカート/ロンドン交響楽団
ピアノ:ジョン・オグドン

メンデルスゾーンの協奏曲、いわゆる「メンコン」と言えば、ホ短調のヴァイオリン協奏曲のことを指すほどに人気・知名度ともにヴァイオリン協奏曲が圧倒的であるが、その陰に隠れて実はピアノのための協奏曲も、ピアノと弦楽のための(イ短調)、第1番(ト短調)、第2番(ニ短調)、2台のピアノのための(ホ長調)、同(変イ長調)と少なくとも5曲は作曲しており、作曲者としてはそれなりにこだわりのあったジャンルのようだ。

全部聞いたことがあるわけではないが、第2番はなかなかの名曲。はじめて聴いたのはラジオの放送だったが、この曲を気に入るきっかけとなったこのジョン・オグドンによる録音が何年も経ってからCD化された。

チャイコフスキーやラフマニノフほどの派手さはないが、肩肘の張らないロマン派の佳品としてもっと演奏されても良いと思うがいかがだろう。

N

Akira Nishimura

西村 朗

Heterofony of Two Pianos and Orchestra
2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー

30CM-520~1 / カメラータ・トウキョウ

指揮:秋山 和慶/東京交響楽団
ピアノ:神野 明、佐藤 俊

「はじめて聴いたときには正直ぼくはブッ飛んだ」とある評論家が書いていた。しかし、まさしくこれは凄い。

ヘテロフォニーとは、原型となる1つの旋律を少しずつ変容させた複数の旋律が同時に演奏されるもので、日本の雅楽を始めとする民族音楽などに見られる構造である。西村朗はこのヘテロフォニーという素材を自作の中で執拗に繰り返し用いている。この曲はその集大成の1つともいえるだろう。

第1楽章冒頭から、2台のピアノのトレモロで連打され続ける空虚5度のドローンに乗って、持続的に鳴らされる管弦楽の篳篥のような音響。どこか雅な響きのする静かな第2楽章を経て、切れ目なしに第3楽章へ続く。ひたすら連打され続けるピアノの波動に乗ってクライマックスへ向けて高潮していく管弦楽の大伽藍にリスナーは次第にトランス状態へと導かれていく。

この曲は車のプレーヤーなどでながら聴きしてはいけない。静かなところでヘッドフォンを使うなどして隅々までじっくり聴いて初めて真価がわかるだろう。

P

Cole Porter

コール・ポーター

"So in Love"~"Kiss Me Kate"
「ソー・イン・ラヴ」~ミュージカル「キス・ミー・ケイト」より (『日曜洋画劇場』のテーマ)

R

Miklos Rozsa

ミクロス・ローザ

(ミクローシュ・ロージャ)

Piano Concerto Op.31
ピアノ協奏曲 作品30

(輸)PANTHEON D07124

指揮:ヴィルフリード・ベットヒャー/バイエルン放送管弦楽団
ピアノ:レナード・ペナリオ

ミクロス・ローザ(ハンガリー語では”ロージャ”の方が発音が近いという)といえば、ハンガリーの民族音楽の要素を取り入れた純音楽作品を多数作曲しているれっきとしたクラシックの作曲家でもあるが、一般的な知名度からいえば「ベン・ハー」や「ジュリアス・シーザー」など、巨費を投じた黄金時代のハリウッド史劇映画の作曲家としての顔の方が遥かに上だろう。

ピアノ協奏曲についても、ヒッチコック監督の映画「白い恐怖(Spellbound)」のために作曲した音楽を基に後に協奏曲として編作し、電子楽器テレミンが加わることでも知られる「スペルバウンド・コンチェルト」の方がすぐに思い出されるが、この曲はそれではない。

いきなりティンパニのソロが動機を奏でる独創的な冒頭に続いて、この動機をピアノが繰り返す。その後登場する主題などは同じハンガリーの民族学派的な音楽でも、バルトークというよりハチャトゥリアンに近い印象だ。第3楽章はラストへ向かってリズミカルに盛り上げていく。

S

Shigeaki Saegusa

三枝 成彰

(三枝 成章)

Piano Concerto “Look! Mount Fuji in the West Wind”
ピアノ協奏曲 「見よ、西風からの富士」

ESCK 8032~3 / (株)ソニー・ミュージック・エンタテインメント

指揮:堤 俊作/新日本フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:神谷 郁代

番号はないが、過去に三枝は管楽器奏者がコーラの瓶を拭くなどの前衛的な内容を取り入れたピアノ協奏曲を作曲しており、これは事実上の第2番である。こちらはメロディへの回帰を標榜して以降の作品であり、激しい噴火によって富士山のできていく過程を表現したという派手な冒頭から、早くも三枝節全開である。三枝の手がけてきた多くのメディアの音楽などで聴かれるような旋律もふんだんに現れ、時に感傷的なまでに盛り上がりリスナーの涙腺を刺激する。良くも悪くもまさしく三枝成彰の音楽に違いない。

ピアノ協奏曲としては、ブゾーニのそれよろしく歌詞付の合唱を伴う点で珍しい編成となっているが、ブゾーニの場合と異なり、それまでオラトリオ「ヤマトタケル」やオペラなどで行ってきたことの協奏曲への翻案と捉えても良いかもしれない。1楽章形式で演奏に30分近くかかる大曲だが、全体は4つの部分に分けられ、第2部では、管弦楽による4度の持続音の海に茫洋と漂うようにソロ楽器の旋律が奏される、この時期の三枝のほとんどすべての協奏曲の第2楽章に共通するスタイルがここでも踏襲されている。

T

Peter Ilyich Tchaikovsky

ピョートル・チャイコフスキー

Piano Concerto No.2 G Major Op.44
ピアノ協奏曲 第2番 ト長調 作品44

指揮:ワルター・ウェラー/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:ジョン・リル

「第1番って言ったら、まるで第2番があるみたいじゃないの!」。あるコンサートで前の席にいた女性2人が話していた。厳密に言えば、最初は交響曲として構想したが完成せず、最終的に1楽章の協奏曲形式で仕上げたものを、弟子のタネイエフが改めて3楽章の協奏曲として補筆完成した曲もあり、これを含めて良いなら第3番まである。

他人の補筆による第3番はともかく、第2番の方は第1番に引けを取らない魅力的な作品であるにもかかわらず、第1番の圧倒的な知名度と人気の影でディスクが非常に少ない不遇の作品だ。だから以前NHKの番組「エルミタージュ美術館」のオープニングテーマに第1楽章が使用されていたのには、ちょっと驚いた。ピアニスト、ニコライ・ルービンシュタインは第1番を献呈されたときこれをこき下ろし献呈を拒否したが、セルゲイ・タネイエフによって初演されて以来好評を博し、ルービンシュタインもチャイコフスキーに謝罪したという。その後チャイコフスキーは第2番を再びルービンシュタインに献呈し、今度はルービンシュタインもこの献呈を受けたとのこと。もっとも第1番は作品23で第2番は作品44だから、この間かなりの期間が経過している。

第1楽章は、重厚な管弦楽のトゥッティで主題が提示される華麗な楽章。第2楽章はやや特徴的で、ヴァイオリンとチェロの独奏も加わった三重協奏曲のようになっている。この曲を初めて聴いたのはラジオで、'80年にロイヤル・アルバートホールで行われたライブ録音だった。残念ながらこの演奏は筆者の知る限りCD化されていない。ロンド形式の軽快な第3楽章が終わるか終わらないかのうちに、会場が熱狂的な拍手と歓声に包まれる白熱した演奏会で、CD化が望まれる。

Yuzo Toyama

外山 雄三

Piano Concerto
ピアノ協奏曲

指揮:外山雄三/大阪フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:内田美苗

「今度はどこの民謡?」と、この作曲家の作風を知る人は尋ねるかもしれない。ところがさにあらず。まるでフランス近代の作品かと思うような西欧風の美しさを湛えた協奏曲で、かの名作「ヴァイオリン協奏曲」や「ラプソディ」など多くの作品でこの作曲家が行ってきた、日本民謡の旋律を主題に引用した作品群とは全くイメージが異なっている。

若書きの作品だろうと当たりを付け、'84年の録音(大阪フェスティバルホール)ながら、これを遡ること20年くらい前に作曲された2曲のピアノ協奏曲(第1番、第2番)のどちらかと思っていた。しかしどうも違うようだ。詳しい資料がないのでわからないが、第3番なのか、あるいはどちらかの改作なのだろうか?

第2楽章が特に美しく、続く第3楽章はサン=サーンスの協奏曲を思い出す様な軽快な楽しい曲である。これも残念ながら今に至るもCD化されていない。NHKの未CD化音源で是非CD化して欲しい1曲だ。

V

Carl Vine

カール・ヴァイン

Piano Concerto
ピアノ協奏曲

(輸)ABC Classics ABC456 698-2 / PHILIPS

指揮:エド・デ・ワールト/シドニー交響楽団
ピアノ:マイケル・キーラン・ハーヴェイ

4.2番という変わった番号の交響曲(4番の改作)も作曲しているオーストラリアの作曲家の作品である。全般に親しみ易い作品が多く、本作も同様。

白眉は第2楽章で、上行したり下行したりコロコロと転げまわるピアノの素早い装飾的パッセージに彩られ、ちょっと物憂げでジャズのような旋律がゆったりと奏でられる。ややムード音楽のような嫌いもあるが、たまには1人で音楽でも、といった休日の午後のお茶のひと時にでもいかがだろうか。

ピアノ協奏曲ではないが、この他に交響曲第5番「パーカッション」も良い。

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