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交響曲第3番 『海洋交響曲』

Goesta Nystroem

ヨスタ・ニーストレム

1)(輸)Phono Suecia PSCD 709

指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
/スウェーデン放送交響楽団
メゾ・ソプラノ:シャルロッテ・ヘレカント

2)(輸)Swedish Society SCD 1015

指揮:スティグ・ヴェステルベリ
/ストックホルム放送交響楽団
ソプラノ:エリザベス・セーデルストレーム

作曲家、ピアニスト、バリトン歌手でもあったニーストレムは、画家としての才能も示した。作曲家兼画家の例としては、他にもサン=サーンス(ピアニスト、オルガニスト、詩人、数学者、天文学者としても知られていた)やリトアニアのチュルリョーニス、同郷のアルヴェーンなどがいるが、画家でもあることは音楽に描写的なものが多いこととも関係があるだろう。海に関連する作品を多く残しているが、7つの海の船乗りすべてに献呈されたこの「シンフォニア・デル・マーレ」は、ニーストレムの最も知られた作品となった。

最初にこの曲を聴いたとき、実はあまり印象に残らなかった。流し聴きしてしまったこともあるが、物思いに耽るようなLentoで始まるこの交響曲が、ここに挙げた他の作品に比べると華やかさをぐっと押さえたモノクロームな色彩感の渋めの内容であったためだ。しかしじっくり聞いてみると魅力的な作品であることに気付く。構造的には少し特異で、Lento、Allegro、Lento、Allegroと繰り返し、メゾ・ソプラノによる独唱を伴う2回目のLentoを挟んで、前後のAllegroに嵐を思わせる(というより戦争の勃発みたいな)同じ主題が登場するというサンドイッチ構造になっている。

聴きどころはやはり声楽を伴うLentoの部分で、ピアノを編成に加えた月夜の波打ち際を思わせる静かで美しい管弦楽に乗せて、地中海のカプリ島で書かれたというエヴァ・リンドクヴィストによる詩をテキストに唯一の愛するものへの思いが歌われる。交響曲というより歌曲のような印象だ。

ここにあるのは、愛の対象への回帰願望の象徴たる海なのだろうか。

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